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2017年10月6日(金)
【通読】
マタイの福音書 21:14-17
14また、宮の中で、盲人や足のなえた人たちがみもとに来たので、イエスは彼らをいやされた。15ところが、祭司長、律法学者たちは、イエスのなさった驚くべきいろいろのことを見、また宮の中で子どもたちが「ダビデの子にホサナ」と言って叫んでいるのを見て腹を立てた。16そしてイエスに言った。「あなたは、子どもたちが何と言っているか、お聞きですか。」イエスは言われた。「聞いています。『あなたは幼子と乳飲み子たちの口に賛美を用意された』とあるのを、あなたがたは読まなかったのですか。」17イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこに泊まられた。
【ポイント】
①腹を立てた理由
祭司長、律法学者達が腹を立てている理由について以前学びましたね。覚えていますか?よく「イエスはユダヤ人指導者たちのねたみを買い十字架につけられた」というような説明を聞きますが、そのような理解では不十分です。それでは、大祭司、祭司長、律法学者、パリサイ人達が「ただの愚かな悪者」というあまりにも短絡的な理解になってしまいます。
実際、「正義の味方」と「悪者」というような構造で世界情勢を理解しようとすることは真実を見失う原因になり、戦争を正当化させる原因にもなります。例えば、北朝鮮が核実験やロケットの開発を行えば、「核爆弾」や「ミサイル」を作っていると非難されますが、日本がロケットを打ち上げても「宇宙開発」、原子力発電所をはじめ、原子力の研究を進めれば「核の平和利用」など呼ばれるわけです。当然、これらの技術を軍事転用したいと考えている政治家がいないはずはないのです。しかし、日本は「正義の味方」、北朝鮮は「悪者」というレッテルが貼られているので、両者とも同じようなことをしているのに、北朝鮮だけ非難されるのです。自分が北朝鮮に生まれ育ち、自分の国を強い国にしたいと願い一生懸命勉強したり、働いている者であると想像してみましょう。アメリカを中心とした国連が彼らの国が有利になり、自分たちの国が不利になるルールを勝手に決め、「あれもダメ。これもダメ」と言い続けるわけですから、「いじめ」「嫌がらせ」を受けていると腹を立てるのも当然ではないでしょうか。他にも、イスラム国の問題も、イスラム教徒に対し、西洋諸国が「悪者」「危険」というようなレッテルを貼られ、不当な扱いを受けているという彼らの悲哀、惨めさについて理解を深めるべきです。
説明が長くなりましたが、つまるところ、「祭司長、律法学者」に「悪者」というレッテルをはって聖書を読むことを止めましょうという事です。彼らにも問題が沢山ありましたが、彼らなりにローマ帝国の支配から自分たちの民族、信仰、伝統を守るために必死に戦っていたのです。イスラエルでローマ帝国に対する独立運動などが起これば、たちどころに制圧され、制裁として、これまで勝ち取ってきた信仰の自由(神殿での礼拝の自由など)が剥奪されたり、規制されたりするのではないかと心配しているのです。ですから、彼らは決して「悪者」ではなく、自分たちの国を守るために、イエス様を中心として起きつつある独立運動と思われる動きを封じ込めようと必死だったのです。(もちろん既得権益を守りたいという思いもあったでしょう。)
人々の複雑な思い、葛藤などを、それぞれの立場に立って考えながら聖書を読むと、より深い学びができると思います。
ライフチャーチ
大谷信道