デイリーディボーション 1月23日(水)

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デイリーディボーション 1月23日(水)

2012年1月23日(水)

ヨハネの福音書 18:12-14
12そこで、一隊の兵士と千人隊長、それにユダヤ人から送られた役人たちは、イエスを捕らえて縛り、
13まずアンナスのところに連れて行った。彼がその年の大祭司カヤパのしゅうとだったからである。14カヤパは、ひとりの人が民に代わって死ぬことが得策である、とユダヤ人に助言した人である。

【ポイント】
イエス様の逮捕にはローマ帝国の兵隊とユダヤ人の役人が送られてきました。この後の裁判でも明らかになりますが、イエス様の言動についてローマ帝国側としては軍隊を動かすほどの問題となる内容は全くありませんでした。しかし、なぜかローマ帝国の軍隊、それも千人の部隊の隊長までもがイエス様の逮捕に出てきたわけです。実際に部隊全員、つまり千人の兵隊が出てきたかどうかは定かではありませんが、ユダヤに駐屯している軍隊のトップが出てきたのです。実は、このすべての黒幕は「アンナス」でした。記録によると彼自身もは西暦6年から15年まで大祭司を務め、さらに彼の4人の息子、そして義理の息子「カヤパ」も大祭司をしていました。彼らは極めて裕福でした。その富は神殿で巡礼者に通常の何十倍もの値段で捧げ物の動物を販売したり、異常に高いレートで売られる献金用の硬貨の両替から得たものでした。彼らの販売した動物、硬貨以外は受け付けないというシステムができあがっていたのです。この神殿での商売の実質的なボスがアンナスだったのです。アンナスは自分の商売に真向から反対したイエス様に殺意を抱いていたわけです。

他のユダヤ人の記録からは、ユダヤ人の民衆はアンナスファミリーに対して大きな憎しみを覚えていたことが分かっています。神の名を語りながら同胞から搾取を続けていたわけですから当然です。ですから、アンナスにとってはローマ軍が民衆が暴動などを起こさないように見張り、治安を維持していることは、実は自分の商売にとっては好都合だったのです。ですから、富を利用してローマ軍との癒着構造をつくり上げ、ローマ軍と良い関係を保つことが必要不可欠だったことは容易に想像出来ます。映画などに出てくる「ヤクザ」「マフィア」、時代劇の「悪代官と庄屋」のコンビの「庄屋」とほとんど同じですね。

ちなみに、パリサイ派は本来、このような大祭司、神殿の堕落と腐敗に反対し、聖書に立ち返り、律法を守ることを教えていました。しかし、彼らが律法の書から捧げ物の規定を教え続けることによって、皮肉な結果として大祭司ファミリーのふところが潤うという構造ができあがっていました。そのような状況の中で、イエス様は律法を表面的に守ることばかりに熱心になっているパリサイ派の偽善を繰り返し指摘しました。元々、良い関係ではなかったはずの大祭司周辺の人々とパリサイ派の人々は、イエス様に対する憎しみという点で一致したのです。いわゆる「敵の敵は味方」というやつです。

今日は、イエス様の逮捕、背景について学びましたが、ここから現代のクリスチャン、教会に当てはまる原則はなんでしょうか。それは、キリスト教会も信仰の共同体であっても、常に堕落、腐敗への誘惑にさらされているということです。これはキリスト教会の歴史を振り返れば明らかです。カトリック教会だけでなく、宗教改革後も何度となく腐敗を繰り返しています。金儲けが目的のカルト的な教会も数多く存在しています。私たちは、大祭司ファミリーの商売に対するイエス様の姿を常に覚えている必要があります。

腐敗や堕落の対局にある問題は「律法主義」や極端な「禁欲主義」です。宗教に対する熱心さが引き起こす問題です。神様の愛、御心よりも、律法、戒律を守ることを大切にするために起こる問題です。パリサイ人に対するイエス様のことばから、マニュアル通りの信仰、表面的な信仰がいかに大きな問題であり、神様を悲しませる姿であるのかを知ることができます。

最後に、さらに大きな問題はこれらの腐敗、堕落に気がつきながら、声を上げなかった民衆の態度です。大阪の高校の「体罰」とも似ている構造です。当然、声を上げることは勇気が必要です。教会は不完全な人間の集まりですから、常に小さな問題は存在します。その一つ一つに声を上げる必要はありません。むしろ、愛に赦し合っていくことが重要です。しかし、越えてはならない一線を越えるような事が起こった時には、声をあげなければならないのです。それが牧師であっても、他のリーダーであっても、勇気を持って、しかし、糾弾するような方法ではなく、愛と真心と知恵を持って間違いを指摘する責任を、すべての教会員が負っているのです。

互いに聖さを保ち、教会が健全に成長していく歩みを続けて行きましょう。

【祈り】
《コロサイ3章》
15キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。そのためにこそあなたがたも召されて一体となったのです。また、感謝の心を持つ人になりなさい。
16キリストのことばを、あなたがたのうちに豊かに住まわせ、知恵を尽くして互いに教え、互いに戒め、詩と賛美と霊の歌とにより、感謝にあふれて心から神に向かって歌いなさい。
17あなたがたのすることは、ことばによると行ないによるとを問わず、すべて主イエスの名によってなし、主によって父なる神に感謝しなさい。

アーメン

ライフチャーチ牧師 大谷信道


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